design.md とは何か — AI に作らせる前に書く「設計メモ」
AI に「これ作って」と丸ごとお願いしたのに、出てきたものが思っていたのと少し違う。 AI と一緒に何かを作ると、一度はぶつかる場面ですよね。 でも、心配はいりません。 たいていの原因は AI の性能ではなく、作る前に「何を・どう作るか」を決めていなかったことにあります。
それを一枚にまとめておくメモが design.md(デザイン・エムディー)です。
(AI に恒久的なルールを渡す CLAUDE.md と混同しやすいので、違いも後で整理します。)
design.md とは — 作る前の「設計メモ」
design.md は、何かを作りはじめる前に、「これから何を、どう作るか」を書いておく設計のメモです。 家を建てる前の図面のようなもの、と考えてください。
CLAUDE.md が「うちではいつもこうしてね」という恒久的なルールだったのに対し、 design.md は「今回のこの機能を、こう作る」という、その場かぎりの設計図です。 作り終えて役目を果たしたら、更新するか、次の設計に置き換えていきます。
なぜ効くのか — 方向を先に合わせる
AI は、方向がずれていても、猛スピードで突き進みます。 だから、ずれたまま作らせると、あとで大きく手戻りします。
作る前に design.md で方向を合わせておくと、この手戻りがぐっと減ります。
- 何を作るのか、ゴールがはっきりする
- 「やらないこと」も決まるので、脱線しない
- AI と人が、同じ設計図を見ながら進められる
Claude Code には、いきなり書かせず「まず計画を立てさせる」使い方(プランモード)があります。 その計画を design.md として残しておくと、次からはその図面を見ながら実装を進められます。 (→ Claude Code の使い方 でも「まず計画を立てさせる」コツに触れています。)
何を書く? — シンプルなテンプレ
むずかしく考えなくて大丈夫です。 次のことが書いてあれば、もう十分に役に立ちます。
# 作るもの
問い合わせフォームを 1 ページ追加する
## ゴール
- 名前・メール・本文を送れる
- 送信後に「ありがとうございました」を表示する
## やらないこと
- ログイン機能は今回作らない
## 画面・項目
- 入力欄:名前、メール、本文
- 送信ボタン
## 手順
1. フォームの見た目を作る
2. 送信の処理をつなぐ
3. 動作を確認する
## 注意点
- メールアドレスの形式をチェックする
いちばんのポイントは、「やらないこと」を書くことです。 これがあるだけで、AI が余計な機能まで作り込むのを防げます。
CLAUDE.md との違い
似た名前の markdown ファイルなので、役割を並べて整理しておきます。
| CLAUDE.md | design.md | |
|---|---|---|
| 中身 | ずっと守るルール | 今回の設計図 |
| 効く範囲 | プロジェクト全体・毎回 | その機能・その作業だけ |
| 寿命 | 育て続ける | 作り終えたら役目を終える |
| たとえ | 家のルール | 一回分の間取り図 |
両方は競合しません。 CLAUDE.md で土台のルールを、design.md で今回の設計を。 役割を分けて持たせるのがコツです。
使うときの流れ
- やりたいことを、ざっくり AI に相談する
- 「まず設計だけ書いて」と頼み、design.md にまとめてもらう
- 中身を自分の目で確認し、ずれていたら直す
- その design.md を見せながら、実装をお願いする
- できあがりを確認し、必要なら design.md を更新する
大事なのは、作りはじめる前に、一度立ち止まって設計をそろえること。 この一手間が、結局はいちばんの近道になります。
呼び名はいろいろ
「作る前に、仕様や設計を書いてから実装する」進め方は、最近 仕様駆動開発(Spec-Driven Development)と呼ばれ、広がっています。 requirements.md(要件)→ design.md(設計)→ tasks.md(作業)と、段階ごとにファイルを分ける流儀もあります。 また、色やフォントなど見た目のルールを機械が読める形でまとめる、Google の DESIGN.md という別物の仕様もあります。
名前や流儀はいろいろですが、芯は同じです。 いきなり作らず、設計を先に言葉にしておく。 これだけ覚えておけば十分です。
よくある疑問
Q. design.md と CLAUDE.md はどう違いますか? CLAUDE.md は毎回読まれる恒久ルール、design.md は今回の設計図(作り終えたら役目を終える)です。役割を分けて持たせます。
Q. design.md には何を書けばいいですか? 作るもの・ゴール・やらないこと・画面や項目・手順・注意点。とくに「やらないこと」が効きます。
Q. 毎回 design.md を書かないとダメですか? いいえ。小さな作業には不要です。少し大きめの機能や、ずれが起きやすいときに、短く一枚から。
まとめ
design.md は、AI に作らせる前に「何を・どう作るか」を書いておく設計メモです。
- 方向を先に合わせて、手戻りを減らす
- 「やらないこと」を書いて、脱線を防ぐ
- CLAUDE.md(恒久ルール)とは役割が別
いきなり「作って」とお願いする前に、まず設計を一枚。 それだけで、AI との共同作業は驚くほどスムーズになります。 次に何かを作るとき、短い design.md を書くところから試してみてください。