AI に図を描かせる — Mermaid で「流れ図」をコードから作る
「この流れ、図にすると一目で分かるのに」。
そう思っても、いざ図を作ろうとすると腰が重くなりませんか。
線を引いて、四角を並べて、位置をそろえて……。
そんな面倒をまるごと省いてくれるのが Mermaid(マーメイド) です。
Mermaid は、図を「絵」ではなく「文章」で書くしくみ。
そしてこの書き方は、AI がとても得意です。
この記事では、AI に図を描かせるやり方と、日本語で崩れないコツ、そして一度作った手順を繰り返し使うための工夫までを、やさしく紹介します。
flowchart LR A["やりたいこと<br/>を言葉で説明"] --> B["AI が Mermaid<br/>のコードを書く"] B --> C["貼るだけで<br/>図になる"]
↑ この記事の流れそのものです。「言葉で頼む → AI がコードにする → 貼れば図になる」。この3ステップを、これから順に見ていきます。
Mermaid とは — 図を「文章」で書くしくみ
Mermaid は、決まった書き方(テキスト)で図を表すためのしくみです。
たとえば「A から B へ矢印」を引きたいとき、こう書きます。
flowchart LR A["朝おきる"] --> B["顔をあらう"] --> C["朝ごはん"]
--> が矢印、["…"] が四角い箱です。
位置やサイズは自動でそろうので、こちらは「何と何がつながるか」だけを書けば済みます。
Mermaid は「線を引く」のではなく「つながりを説明する」道具です。
だから、絵心がなくても、マウスで線を引かなくても、図が作れます。
この記事の図も、すべてこの方法で書いています。
なぜ AI と相性がいいのか
図を絵として描くのは、AI にとって苦手な作業です。
でも Mermaid は図が**文章(コード)**なので、話が変わります。
文章を書くのは、AI がいちばん得意なこと。
だから「こういう流れの図がほしい」と言葉で頼めば、AI がスラスラと Mermaid のコードを書いてくれます。
あなたはそれをコピーして貼るだけ。
図の修正も「3番目の箱を2つに分けて」と言えば直してくれます。
手で描き直す必要がありません。
sequenceDiagram participant U as あなた participant AI as AI U->>AI: 「こんな流れの図がほしい」 AI-->>U: Mermaid のコード U->>U: 貼って図にする U->>AI: 「ここを直して」 AI-->>U: 直したコード
↑ あなたと AI のやり取りは、こんなキャッチボールになります。
うまく頼むコツは AI への頼み方 の記事も参考にしてください。
実際にやってみる — AI へのお願いの仕方
むずかしく考えなくて大丈夫です。
次のように、普通の言葉で頼むだけで十分です。
次の流れを Mermaid のフローチャートにしてください。
日本語のラベルは "…" で囲んでください。
・記事を書く
・下書きを見直す
・OK なら公開、ダメなら書き直しに戻る
すると、AI はこんなコードを返してくれます。
flowchart TD
A["記事を書く"] --> B["下書きを見直す"]
B --> C{"OK?"}
C -->|はい| D["公開する"]
C -->|いいえ| A
{"…"} のひし形は「分かれ道(分岐)」を表します。
-->|はい| のように、矢印にラベルを付けられます。
ポイントは1つだけ。頼むときに「日本語ラベルは ”…” で囲んで」と一言そえること。
これだけで、後で紹介する「崩れる」トラブルの大半を防げます。
図の種類 — まずはこの3つ
Mermaid にはたくさんの図がありますが、初心者はこの3つを知っていれば十分です。
| 図の種類 | 何を表す | こんなときに |
|---|---|---|
| フローチャート | 処理の流れ・分岐 | 手順やしくみを説明する |
| シーケンス図 | やり取りの順番 | 「誰が誰に何をする」を並べる |
| 状態遷移図 | 状態の移り変わり | 「下書き→公開」のような段階 |
フローチャートとシーケンス図は、もう上で見ました。
3つ目の状態遷移図は、こう書きます。
stateDiagram-v2 [*] --> 下書き 下書き --> レビュー レビュー --> 公開: OK レビュー --> 下書き: 直しあり 公開 --> [*]
記事が「下書き → レビュー → 公開」と進み、直しがあれば下書きに戻る、という移り変わりを表しています。
どれを使えばいいか迷ったら、**「言葉で順番に説明できる図はフローチャート」**から始めれば大丈夫です。
日本語で崩れないための注意点
Mermaid でいちばんつまずくのが、日本語ラベルの崩れです。
でも、原因はだいたい決まっています。
- ラベルを ”…” で囲んでいない。特に
( ):/などの記号やスペースが入ると崩れます。 - 記号が半角のまま。
(CLI)のような半角カッコは、全角の(CLI)に逃がすと安定します。 - 1つの箱が長すぎる。横に伸びて読みにくいときは、
<br/>で改行します。
たとえば、崩れやすい書き方と、直した書き方はこうです。
悪い例: A[Claude Code (CLI) を使う]
良い例: A["Claude Code(CLI)を<br/>使う"]
「崩れたら、まず ”…” 囲みと記号の全角化を疑う」。これだけ覚えておけば十分です。
なお、このブログでは、もし図の描画に失敗しても、元の文字(コード)がそのまま残るようにしてあります。
内容が消えてしまうことはないので、安心して試せます。
もっと見やすくする — グループ・色・ハイライト
素のままでも十分ですが、ひと手間で「ぐっと見やすい図」になります。
コツは3つだけです。
- グループにまとめる(
subgraph):関係する箱をカードで囲む - 色をつける(
classDef):役割ごとに色を分ける - 主役の流れを強調する(
linkStyle):いちばん見てほしい矢印を太く・色つきに
たとえば「あなた → AI にまかせる → 仕上げ」を、グループと色で整えるとこうなります。
flowchart LR
U("🧑 あなた<br/>やりたいことを言葉で")
subgraph AI["🤖 AI にまかせる"]
direction TB
D("下書きを作る")
Z("Mermaid のコードにする")
D --> Z
end
subgraph PUB["✅ 仕上げ"]
direction TB
R("見直す")
P("公開する")
R --> P
end
U ==> AI
AI --> PUB
classDef me fill:#fff5f5,stroke:#e0554e,color:#b23b34,stroke-width:1.5px;
classDef work fill:#eef1ff,stroke:#2337ff,color:#000d8a,stroke-width:1.5px;
classDef done fill:#e9f6ec,stroke:#3f9e5a,color:#2f7d46,stroke-width:1.5px;
class U me
class D,Z work
class R,P done
linkStyle 2 stroke:#e0554e,stroke-width:3px
同じ内容でも、囲む・色分け・強調を足すだけで、ぐっと読みやすくなります。
class U me の me は自分で決めた色の名前で、classDef で中身を定義しています。
linkStyle 2 は「3本目の矢印(0から数える)」をオレンジで太くする指定です。
まずはグループ分けと色分けの2つだけで、見やすさは大きく変わります。
もちろん、これも AI に「グループと色を付けて見やすくして」と頼めば、この形にしてくれます。
「本物のアイコン入り」の構成図がほしいときは
クラウド構成図でよく見る、サービスのアイコンがきれいに並んだ図。あの水準は、実は素の Mermaid の守備範囲を少し超えます。
ぴったりに作りたいなら、次の使い分けが現実的です。
- 流れ・関係を分かりやすく:Mermaid(この記事の方法。直せる・軽い)
- アイコン入りで「魅せる」構成図:手描きの SVG や作図ツール(draw.io など)。位置もデザインも思いどおりにできる
つまり「直しやすさ」を取るなら Mermaid、「見た目の作り込み」を取るなら作図ツール、と割り切るのがコツです。
繰り返すなら「Skill」にしておく
図を作るお願いを毎回イチから書くのは、少しもったいない。
Claude なら、こうした決まった頼み方を「得意技」として覚えさせておくことができます。
それが Skills(スキル) です。
「Mermaid の図を作るときは、日本語ラベルを必ず ”…” で囲む」「記号は全角にする」といったお作法をまとめて1つのファイルにしておくと、次からは「あの流れを図にして」と言うだけで、崩れない図が返ってきます。
実際にこのブログでも、Mermaid 図を作るための Skill を1つ用意して、記事づくりに使っています。
自分だけの Skill の作り方は 自分だけの「スキル」を作ってみる にまとめてあります。
得意な AI に得意な仕事を振る。この考え方は AI の使い分け実践 にもつながります。
よくある疑問
Q. 専用のソフトを入れる必要は? いりません。Mermaid はテキストなので、対応したブログやツール、あるいはオンラインのエディタに貼れば、その場で図になります。
Q. 手で描いた図(SVG など)とどう使い分ける? 「流れ・順番・分岐」を見せたいときは Mermaid が向いています。逆に、配置やデザインをきっちり決めたい図、1枚で映えさせたい図は、手で作るほうがきれいです。
Q. AI が返したコードが動かない 多くは日本語ラベルの崩れです。「ラベルを ”…” で囲んで、記号を全角にして」と AI にもう一度頼めば、たいてい直ります。
まとめ
図づくりのハードルは、Mermaid でぐっと下がります。
- Mermaid は、図を文章(テキスト)で書くしくみ。
- 文章を書くのは AI の得意技なので、「こんな図がほしい」と頼めばコードが返ってくる。
- 崩れたら、まず**”…” 囲みと記号の全角化**を疑う。
- 繰り返すなら、頼み方を Skill にして覚えさせておく。
線を引くのが苦手でも、もう大丈夫です。
まずは「今日やったこと」を3つ並べて、AI に「これをフローチャートにして」とお願いするところから試してみてください。