
実例:Claude で「KangaL」を作った話
ここまでで、Claude の正体と Claude Code の使い方を見てきました。 では、実際に AI と何かを作ると、どんな感じになるのか。 筆者が Claude と一緒に作ったプロジェクト KangaL(カンガル)を題材に、その手触りを共有します。
KangaL ってどんなプロジェクト?
KangaL は、詐欺(スキャム)メッセージを見抜く AI を、AI 自身に鍛えさせる仕組みです。 キャッチコピーは「進化して、詐欺に食らいつく。」。 面白いのは、役割の違う 2 つの AI を競わせるところです。
- 攻撃役(狼):本物らしい詐欺の「型」を考え出す
- 防御役(番犬):その型を見破る検知の精度を高める
攻撃役が新しい手口を出すたびに、防御役がそれに対応して賢くなります。 このいたちごっこを、人手ではなく AI 同士でまわす。 そうやって仕組みそのものが勝手に強くなっていく、というのが狙いです。
安全のため、KangaL は実在の詐欺文面そのものを生成も保存もしない設計にしています。詐欺を「言葉」ではなく、いくつかの特徴の組み合わせとして扱うことで、悪用のリスクを抑えています。
Claude はどこで活躍したか
こう書くと難しそうですが、最初から全体像が見えていたわけではありません。 分からないことは、その都度 Claude に聞きながら進めました。 助けられた場面は、大きく 4 つです。
- 設計の壁打ち:「攻撃 AI と防御 AI をどう競わせるか」というアイデア段階の相談相手。
- コードの実装:検知ロジックや評価用のスクリプトを、対話しながら少しずつ形にする。
- 専門用語の翻訳:「recall(見逃しの少なさ)」「FPR(誤検知率)」といった機械学習の言葉を、意味から説明してもらう。
- 文章づくり:提出用の説明文や README を、読み手に合わせて整える。
とくに効いたのは、三つめの「翻訳」です。 知らない言葉が出るたびに手が止まる、という初心者最大の壁を、その場で崩してくれました。
進め方で意識したこと
前の記事で挙げたコツは、実際のプロジェクトでもそのまま効きました。
- まず計画から。いきなりコードではなく、進め方を先に固める。
- 小さく作って確かめる。一気に大きく変えず、動かして検証してから次へ。
- AI の出力を疑う。もっともらしい答えでも、数字や判断は自分でも確認する。
- 記録を残す。決めたことをメモしておくと、あとで迷わない。
とくに 4 は、長い開発ほど効いてきます。 Claude にも「決めたことをメモしておいて」と頼んでおくと、次に再開したときの立ち上がりが速くなります。
この事例から言いたいこと
KangaL のような「AI が AI を鍛える」発想も、技術力があったから実現できたわけではありません。 分からないことは聞き、小さく試し、間違えたら直す。 その繰り返しで、少しずつ形になっていきました。
「アイデアはあるのに、技術力が足りなくて諦めている」。 そういう人にこそ、AI との共同開発は向いています。 次の記事では、もっと初心者寄りの目線から、ほぼゼロから Web サイトを作った記録を紹介します。